慢性痛にピラティスは効く?理学療法士が解説する科学的アプローチ

こんにちは!
Viviピラティス/札幌ピラティス インストラクターのダイチです!

「どこに行っても治らない…」その痛み、慢性痛かもしれません

「マッサージしてもすぐ戻る」
「レントゲンでは異常なし。でもずっと痛い」
「痛み止めを飲んでしのぐ日々に疲れてきた」

そんなふうに、長く続く身体の痛みに悩んでいませんか?

それはもしかすると、慢性痛(chronic pain)と呼ばれる状態かもしれません。
そして、その慢性痛には「ただ休む」「薬で抑える」だけでなく、正しい“運動”を通じたアプローチが必要です。

この記事では、慢性痛とピラティスの関係について、医療と運動の両方を学んできた理学療法士の視点からお伝えします。


慢性痛とは?「身体」よりも「脳」が関係している

まず知っておきたいのが、「慢性痛は、ただの“長引く痛み”ではない」ということです。

■ 慢性痛の定義(IASP 2020)

「実際の組織損傷がなくても、痛みは感覚・情動として存在することがある」

つまり、痛みが“脳に記憶されてしまった状態”が慢性痛の本質です。
神経系が過敏になり、ちょっとした動きや刺激に対しても「痛い」と感じてしまう状態——それを
中枢性感作(Central Sensitization)と呼びます。

こうなると、「安静にしていれば治る」「揉めば楽になる」といったアプローチだけでは、根本的な改善にはつながりません。


なぜ“動いた方がいい”のか?運動が脳と身体をリセットする

慢性痛があると、人は「動くのが怖い」と感じがちです。
しかし、それがさらに筋力の低下や姿勢の崩れ、不安感を引き起こし、痛みを悪化させてしまうという悪循環に陥ります。

近年の医学では、こうした負のスパイラルを断ち切るには、「適切な運動刺激」が非常に重要だとされています。

ただし、「筋トレをすればいい」「ストレッチすれば治る」といった単純な話ではありません。
そこで注目されているのが、“動きの質”と“身体感覚”を重視するピラティスです。


ピラティスは慢性痛と相性が良い3つの理由

1. 呼吸で自律神経を整える

ピラティスは、横隔膜呼吸(深く長い腹式呼吸)をベースにしています。
この呼吸は、自律神経を整え、交感神経の過活動(=痛みを増幅させるストレス反応)を落ち着かせる効果があります。

深い呼吸で身体が“安心モード”に切り替わることで、痛みに対する過敏さがやわらぐのです。


2. 身体感覚を取り戻す「動きの再教育」

慢性痛の人は、「自分の身体がどんなふうに動いているのか分からない」「どこに力が入っているか分からない」と感じることが多いです。
これは、脳の中の“身体地図”が乱れているために起こる現象です。

ピラティスは、一つひとつの動きに意識を向けることで、脳内の身体マップを修正していくトレーニングでもあります。


3. 脳の痛みネットワークに働きかける

2021年のfMRI研究では、ピラティスを継続した慢性腰痛患者において、前帯状皮質や島皮質など、痛みの認知や情動処理に関わる脳領域の活動が正常化したことが報告されています。

つまり、ピラティスは単なる筋トレではなく、脳と神経ネットワークを再教育する運動なのです。


実際の研究データから見る「ピラティス×慢性痛」

いくつかの代表的な研究を紹介します。


■ Cochraneレビュー(Yamato et al., 2015)

  • ピラティスは一般的な運動よりも、短期〜中期的に慢性腰痛を改善する効果が高い
  • 姿勢・体幹筋の再教育がカギ

■ 頸部痛の研究(Yildirim et al., 2022)

  • 8週間のピラティスで、首の可動域・痛み・日常動作が有意に改善

■ 線維筋痛症(Altan et al., 2009)

  • ピラティス群は、痛みの軽減・睡眠の質の向上・QOL(生活の質)の改善が認められた

理学療法士としてのリアルな現場の声

私自身、理学療法士としてこれまでに数多くの慢性痛クライアントを見てきましたが、ピラティスを取り入れることで「自分の身体を怖がらずに使えるようになった」という声を多くいただいています。

特にこんな方にピラティスは効果的です

  • 「検査では異常なし」と言われて不安な方
  • 慢性的な腰痛・肩こりが何年も続いている方
  • 呼吸が浅く、寝ても疲れが取れにくい方
  • 体を動かすのが怖くなってしまった方

まとめ|慢性痛には「学び直す動き」が必要です

痛みが長く続くと、「これはもう治らない」と思ってしまいがちです。
でも実は、脳も身体も“学び直し”によって変わっていける力を持っています

ピラティスはそのための“リハビリ的運動”として、医学的にも科学的にも信頼できる方法です。
もしあなたが慢性痛に悩んでいるなら、ただ我慢するのではなく、自分の身体と優しく対話する手段としてのピラティスをぜひ選択肢に入れてみてください。

理学療法士として、エビデンスに基づいたサポートと共に、あなたの“再スタート”を全力で応援します。